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祭り





日が暮れ、ぼんぼり、提灯に火が灯る。
人出は多くなり、いつの間にか、群れとなって通りを練り歩くひとつの流れになっている。
今夜は祭だった。えるり祭だ。
毎年この頃になると、村中のエルリが集まって、こうして祭をするのだ。

山車も出る。
担ぎ手は主に若いエルリだ。
攻めのエルヴィンも、受けのリヴァイも別け隔てなく、若い者が威勢よく担ぐ。
わっしょい、わっしょいと大声を張り上げるたび、山車は大きく揺れる。
乗り手のエルリは、今年はスクールカーストのエルリだ。
一昨年は隠居エルリ、去年はニト中のエルリだったろうか?
年老いた一人の隠居リヴァイは思い出そうとしたが、やめた。
ちょうどパートナーである隠居エルヴィンが肩を叩いたからだ。
二人は今年は担ぎ手こそしないものの、揃いの法被を来て、年甲斐もないと笑いながら、
それでも祭を楽しむことに決めたようだ。

さて、乗り手のエルリだが、彼らはスクールカーストのエルリだった。
乗り手のエルリは、山車の中でまぐわう権利と義務が与えられている。
だが彼らはまだデキていないエルリだったので、祭が始まったばかりの今、完全に固まった状態だった。
だがそこは他のエルリも抜かりが無い。何せ、百戦錬磨のエルリが揃っている。
安心安全副作用なしの媚薬を二人には打ってあるのだ。
わっしょい、わっしょいと揺られるうち、スクカーの二人のあいだには桃色の雰囲気が漂い始めていた。

「どうする、エルヴィン先生よ」
「どうしたもこうしたも、義務と言われてしまってはな……」
「……アンタの判断に従おう。」
「ううん……」
「……やっぱりおキレイな先生様には、清掃員なんてのは抱けねえか」
「誤解だ、リヴァイ。そういうことじゃない」
「じゃあ、どういうことだ」
「義務なんかで君を抱きたくはない。……が、この熱はどうしようもないな……」

媚薬の熱ですでに二人の衣服は乱れていた。
特に清掃員の制服はジッパーが早々に下ろされ、あられもない姿になってしまっている。
薄桃色に紅潮した胸元に、汗が滑り落ちていく。
教師エルヴィンは、ゴクリと生唾を飲み込むと、目線を外そうとした。だが、それは出来なかった。
下半身の欲に支配されることは自らを理性的であると自負しているエルヴィンにとっては屈辱的なことであったが、わっしょいわっしょいと揺らされていると、理性などはぺらぺらの紙のように思えてくる。

「……義務なんかで、っていうのはどういう意味だ、先生」
「君の事が好きだと言っているんだ。ああ、熱いな……」

リヴァイは固まっている。
――そのぽっかりと開いた口を塞いでやりたい。チラリと覗いている桃色の舌を絡めとって吸いたい。
エルヴィンは強くそう思った。そして、そうすることにした。
――今日は祭なのだ。想い人の口を吸うくらいいいじゃないか。

「先生、エルっ、エルヴィン……!?」
「リヴァイ、しずかに……」
「んっ、んん、んふ……っ」

ふたりがやっと唇を交わし始めると、山車の外で太鼓を叩いていた中学生リヴァイの頬が赤くなった。
その隣で同じく太鼓を叩いていたニートはそれを見てむらむらとしたものを感じながら、大きな声で皆に合図した。
わっしょいの掛け声がいっそう大きくなる。
山車はいよいよ揺れる。

元マフィアだの、闇のナンタラだのと陰で呼ばれているリヴァイだが、なかなかどうして、エルヴィン相手には純情であった。
媚薬の効果も手伝い、肉体は火照り、心は動揺しているが、リヴァイというものの性質からか、流されやすく抵抗は形ばかりのものだ。
あれよあれよという間に脱がされ、唇も胸もいじり倒され、どろどろにとろけ、あとはもう挿入を待つばかりという有様だった。

「えるびっ、挿れるのか、なあッ、」

「ハ……ッ挿入する、さっきから言っているだろう、」

冷静を装っているふうのエルヴィンではあったが、息は切れ、互いの肌を探り探られるままシャツのボタンはほとんど飛んでいたし、汗みずくになっている。
股間のソレは猛り、反り返って先が腹に付いているほどだ。
リヴァイは山車の欄干に手を伸ばし、爪を立てるように握りしめ、尻を突き出した。
エルヴィンは背後から、荒い息を抑えようと努めているものの、媚薬のせいでそれは儚い抵抗だった。

「力を抜いていてくれ、」
「あ!はいる……ッ」

まだ先が当たっただけであったが、リヴァイの興奮は最高潮だ。
入る、入るとうわ言のように繰り返している。
先がにゅるにゅると入口を抉る。
そのたびに、あっあっとリヴァイの肉体が弾む。

「挿れるぞ……ッ!」
「っあア!あ~~~♡」

にゅぐぐ、といやらしい音を立てて、ソレがついにリヴァイのソコに入ってくる。
相当な質量を持ったソレは、リヴァイの狭いソコを拡げるようにして、力いっぱいに突き進む。

「はいった……ッ」
「……♡!……♡!」

リヴァイはもはや言葉も無い。
ただ、ハッハッと犬のように息を上げるばかりだった。

エルヴィンは汗だくの背中を曲げ、リヴァイの耳の後ろへ唇を付けると、うごくぞ、と吐息でそう言った。

「あァ~~~ッ♡あう♡ああう♡」

「くッ、締まる……!」

リヴァイはもう、身も世もなく叫んでいる。
わっしょい!わっしょい!の声は、担ぐエルヴィンもリヴァイももう分からぬほどに、ぴったりと息が合い、
担ぐ方も担がれる方もほとんどトランス状態に入っているような有様で、大変な様相を呈していた。

わっしょい!わっしょい!
「ああ♡えるびッ♡おかしくなる♡」
「リヴァイ!リヴァイ!ああ……ッ」
わっしょい!わっしょい!

エルヴィンが後ろからリヴァイを突き上げるたび、リヴァイの白い肉体はいよいよ桃色に茹だり上がり、
汗の飛沫は山車の外へ飛ぶほどであった。
揺すぶられる黒髪が振れる。
ほとんど湿っているその髪をエルヴィンは愛おしく思い、うなじを舐め上げながら、突く速さを上げていく。
わっしょい!わっしょい!の声も高らかに、祭の興奮を上げていく。
絶頂はすぐそこだ。
担ぐエルリ、担がれるエルリ。太鼓を叩くエルリ。観衆のエルリ。
そのすべてを眺めながら、隠居エルリは高揚する心のままに、団扇の裏で唇を交わしたのだった。






















 

だるまちょうちん
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