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チンピクランド

〜ウルトラおちんちん継承の儀〜





珍宝村――X県Y市にあるその村には、『チンピクランド』と呼ばれる秘宝館が存在した。
現館長ダリス・ザックレーのいうところに因れば、その昔珍宝村には『珍宝さま』という英雄が居たという。
身の丈七尺はあろうかという大男で、武具を身に付けず、裸一貫で敵と戦ったというその男は、
とんでもない巨根であったと伝えられている。
そして今でも大きな木の彫り物の『珍宝さま』を担ぎ上げ、村中を練り歩く『珍宝まつり』という奇祭が残っていた――。

民俗学者エルヴィン・スミスは『珍宝さま伝説』に深い興味を抱き、珍宝村に逗留することにした。
全国でも屈指の硫黄成分含有量を誇る名湯『珍宝の湯』に浸かり、温泉まんじゅうを食べて浴衣姿でくつろいでいたある日。
LINEを交換していたザックレーから「裏珍宝まつりがある♪」との報せを受け、駆け足でチンピクランドに向かうと、そこにいたのは巫女姿の男リヴァイ・アッカーマンであった。

リヴァイは『チンピクランド』こと珍宝村秘宝館の裏手の山にある『珍宝神社』の巫女だった。
現神主を務めるはずである、ケニー・アッカーマンは『珍宝さま=ウルトラおちんちん』との書置きを残し失踪していた。
そして百年ぶりに行われる『裏珍宝まつり』の時期がやってきてしまった――とのことだった。
アッカーマン家だけが入る事のできる珍宝神社の本殿に安置されているという、本物の『珍宝さま』。
それを手にした男は、巨根と、とんでもない精力を手に入れることが出来る、とアッカーマン家の秘伝の書には書かれていたのだ。

「絶対に手に入れる!」と意気込んだのはザックレーである。
「興味があるなあ。」と手を挙げたのはエルヴィンだ。

「オイオイオイオイ……」
それに待ったをかけたのはリヴァイであった。
リヴァイは『チンピクランド』から流れてくる脳みそピンクな客たちに辟易しており、再三ザックレーに秘宝館を閉館するよう求めていた。リヴァイが『珍宝さま』を手に入れた暁には、出て行ってもらおうというのがリヴァイの言い分だ。
何より、『珍宝さま』はアッカーマン家が長年守ってきたご神体である。
脳みそがとびきりヴィヴィットなピンクジジイにはやれねえし、
ポッと出のイケメン学者先生にも差し出せるわけがねえ、というわけであった。

「勝負の内容は――!?」

秘伝の書には『チンチンチャンバラ』とあった。
おのれのちんちんを差し出し、チャンバラのように切先を合わせ、相手のちんちんを射精させたものが勝ちとなる。
(ダリス・ザックレー、勃起不全のため不戦敗。)

かくして、ここに戦いの火蓋が切って落とされた――。


――月も冴える深夜。神社の本殿前、篝火が炊かれ、弾けるような音を立て燃えている。
煌々と照らされた砂利敷きには、男がふたり、向かい合って立っていた。
温泉旅館の浴衣姿はエルヴィン・スミス。民俗学者。興味のあるものはどんな手を使っても手に入れてきた男。
白と赤の巫女姿はリヴァイ・アッカーマン。巫女♂。理不尽なしきたりにも渋々従い、伝統を守ってきた男。
互いから目を反らさぬままに、ふたりは下衣をくつろげた。

「君と争いたくは無い。だが――」
「ハッ。『珍宝さま』にいたくお熱みたいじゃねえか、学者先生?」

エルヴィンがヒッチハイクで行き倒れているところを介抱し、村まで送り届けたのはリヴァイであった。
その後も湯自慢の温泉旅館で板長をつとめるリヴァイとは不思議と気が合ってか話す機会も多かった。
やりにくい相手だ、とエルヴィンは思った。
しかし――。

ぼろん。

「?!」
大きな効果音を立て、『こぼれ落ちた』というのが正しいか、とにかく大きなイチモツが現れた。
その堂々とした体格にこそ見合った大きさのイチモツ――ちんちんを出して、エルヴィンは大股にリヴァイへ近づいた。
すごい迫力である。
まるで伝承の中の『珍宝さま』の体格とイチモツの大きさそのままに、威風堂々とエルヴィン・スミスは立っていた。

「昔から、興味を持ったものにはしつこいんだ。私はね」
「クソッ……」

リヴァイも、焦りながらも自らのモノを取り出す。
そしてエルヴィンのモノにそっと合わせようとすると、エルヴィンが不意に動き、距離を縮めた。

「アッ……?!」

「すまないが、私はリードしたい方なんだ。」

エルヴィンはリヴァイのモノと重ね合わせると、その大きな手でソッと包んだ。

「んっ」
「う……」

「……さあ。扱くよ。」

そう宣言したエルヴィンの低い声が胎に響いてか、リヴァイはブルッと身震いをした。
しかし、リヴァイも負けてはいられない。
モノの大きさでは勝てぬものの、リヴァイの誇りはその硬さである。
ギュッと互いのモノを握り締めた途端、エルヴィンの顔色が変わった。

「これは……!」
「硬えだろ。突然バカみてぇな力が体中から湧いてきて、ナニをどうすればいいか分かるんだ……」

戸惑っているエルヴィンを尻目に、リヴァイは扱きはじめた。
「く……ッ」
「うぁ……ッ」

エルヴィンの大きなモノと、リヴァイの硬いモノがまとめて擦られる。
しばらくすると、どちらのものともつかぬ先走りの液が垂れ、ふたりの手を汚した。

ヌチュヌチュ……という粘着質な音が、篝火のパチパチという音に負けず、互いの耳に届いた。
エルヴィン、リヴァイともに、炎のせいか、はたまた興奮でか、汗を掻いていた。
たらたらと垂れた汗はふたりの襟口を湿らせ、緊迫感を煽っている。

「くッ、埒が空かない!リヴァイ、早めるぞ!」

「ンなッ……!?」

エルヴィンの手の動きが早まる。
グチュッグチュッと音を立て、また飛沫を散らして、二本のモノが扱かれる。

「あっ!ああ……!」

切ない刺激に身を捩らせ、リヴァイが甘く鳴く。
エルヴィンはその扇情的な様子に射精感を強めながらも、グッと我慢して唇を噛んだ。


「アッ……だめだ、ダメ、いっちまう……!」
「いけばいい。俺の手に出すんだ、リヴァイ」

「だめ……だッ!そんなこと……!」
「一緒にイこう、リヴァイ!」

エルヴィンの胸元に寄りかかるようにしていたリヴァイの顎を上げさせ、エルヴィンは口付けた。
なんと甘い唇だろうか!エルヴィンは恍惚とした。
口内を貪るように舌を入れると、リヴァイも応えて舌を絡ませてくる。
その舌をほとんど食べてしまうかのように吸い付くと、エルヴィンは手を早めた。


「ンッ!んン、ッ……!!!!」

「く……!」

ドプッ、ドプッと迸りが飛んだ。
ふたりの熱いモノは震えながら射精している。
ふたりはギュッと抱き締め合い、まるで前世からの恋人同士かのように口付けたまま離れなかった。

しかし、射精はまったくの同時、とは行かなかった。

「勝者!エルヴィン・スミス~~~~~~~!!!!!」

いつの間にかレフェリーになっていたザックレーが声を上げる。
ふたりは最後まで出しきった後、やっと離れて互いの目を見つめ合った。

その目には、互いの健闘を称える気持ちとはまた別に、熱い何かがこもっていた――。



「さて、御開帳と行こうか。」

ザックレーがニヤニヤしながら本堂に手を掛ける。

「おい、ジジイてめえ、どきやがれ。」

ザックレーを足蹴にしたリヴァイをまあまあと宥め、エルヴィンは改めて、本堂に掛かっている錠に手を掛けた。

「おお……!」
「おい、こりゃあ……!」

本堂に安置してあったのは、『珍宝まつり』で担がれる木型そっくりの、大きなちんちん?であった。
横にある大きな木の根っこから生えているソレはまさに『珍宝さま』――ウルトラおちんちんと呼ぶのに相応しい立派なモノであった。
根は太く、カリは張り出ており、血管がぬらぬらと浮き出ている。

「しかし、これは……」

「マツタケ?のにおいがしねえか?」
「確かに……」

本堂の中はマツタケの香りで満たされていた。
ふたりがその御神体にそっと触れると、どこか柔らかい。

「きのこ……」
「きのこだな、これは」
「きのこじゃな」

三人は一拍置くと、ドッと噴き出した。
リヴァイはそのウルトラおちんちんきのこ(と、後日茸学会に登録申請される)をもぎ取ると、すべて刻んで、きのこ汁として村中に振舞った。

その横ではエルヴィンが、おいしい、ときのこ汁を四杯も平らげながら、
今夜はもっと君とチャンバラがしたい。今度は布団の上で。と囁いていた。





















 

提灯祭り
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