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マテ





妻♂はフェラチオが大好きだ。

いつでも誘いをかければ喜んで頬張るし、潔癖なはずが即尺も可能だ。
寝室では勿論、台所や居間であっても、 外出先でも妻♂は舐めることに抵抗が無い。
しかし、最初からこうだったわけではない。
こいびと時代には、私は彼にフェラチオさせることはなかった。
結婚後、ふたりの夜の生活を始めるにあたって、最初にぶつかった難問がフェラチオであった。
まず彼は前述のように潔癖の気があり、それはどうやら私相手には緩むようだったが、
それでも一般的な人間よりはきれい好きで、局部を舐める、ということに抵抗があるようだった。
しかし私はリヴァイに対してはしつこいと言われるくらいに愛撫を施してきた。
自分ばかりがいい思いをしているのではないかと思ったリヴァイは、ある日やさしく誘いをかけた私の言葉にコクンと頷いた。

「まあ……一方的にやられてるってのもな」

初々しい、まさに新妻と呼んでふさわしいリヴァイの初フェラチオは下手ではあったものの、
いや、下手であったからこそ価値のある、素晴らしいものだった。
今回のテーマに沿わないために、記述はしないが、とにかく可愛らしい、新妻らしいフェラチオであったとだけ言っておこう。

さて、現在に話は移る。
妻の趣味のひとつとして、ドラム式洗濯機を見守るということがある。
ドラム式洗濯機が洗濯物を水流で揉み洗いしているような様が、人間臭く健気で見守りたくなるということだ。
かくいう私もこのドラム式洗濯機が我が家に設置された夜には、たいへん興味深く、リヴァイの横に座り込み、
酒などを煽るなどしたので、そこは似た者夫婦だと呼べるかもしれない。

とにかくリヴァイは今日も今日とて、洗濯機の前に座っている。
すべての家事を終わらせ、あとは洗濯物を干すだけとなったリヴァイは、紅茶を飲みながら水流をみつめている。
最近買ったばかりの真っ白な割烹着を着ている。
その下は何やら、ムー◯ンのトレーナーらしきものと、小さなお尻がねじ込まれたピチパツのジーンズ。
おとぼけ奥さん♂スタイルだ。
人が言うには私達夫婦にはファッションセンスというものが無いらしいので、外出時にはお互い一番シンプルだと思ったものを着ていく。
その代わり、家の中では好きなものを着ればいいということになっている。
今日のリヴァイももしかしたら少しダサいのかも知れないが、私には分からない。
今日も私の妻♂は可愛らしいなあ、としか思わないのだ。

「リヴァイ。」

私が呼ぶと、リヴァイはこちらへ目線を向けた。
椅子に座っているリヴァイの肩へ手をやり、軽く唇を合わせる。

「んん……」

夫婦の挨拶というような軽いキスをした後、リヴァイは目を閉じ、無言のまま続きを催促する。
私はそれに、口づけを深くすることで応えてやりながら、リヴァイの割烹着の紐を一つ外す。
軽く引っ張ると、はらりと簡単に解けてしまった。

リヴァイはその行為にこの先を期待したのか、私のズボンの前たての辺りに手を滑らせた。
まだそこはほんのりと温かい程度で、熱くなってはいない。
膨らみもまだ中途半端だ。
リヴァイはいそいそと私のベルトを緩め始める。
人から表情の変化こそ読み取られづらいものの、特別親しい者にはよく分かる期待の表情で、リヴァイは私を仰ぎ見た。

「欲しいか?」

私がそう訊ねると、リヴァイは新妻のころと変わらぬはにかんだ顔を見せ、またコクンと頷いた。


「出してごらん。だが、まだ咥えてはダメだ。」

マテ、だよリヴァイ。と言うと少し不安そうな顔をしたものの、さっそく私のズボンに手を掛けた。
細い指がズボンのボタンにかかり、それを外す。
ジ、ジと音を立てて、ゆっくりジッパーが下りる。
リヴァイはまるで、贔屓の野球チームの試合が始まるような、わくわくした顔(リヴァイを知らない人には、ほとんど無表情と思える顔)をして、私のパンツに手を伸ばした。


ぼろん、と私のペニスが外へ出る。

私のペニスはどうやら、人より大きいらしい。
まだ完全には大きくなっていない、だらりと力を失っているペニスなのに、
リヴァイはそれを仰ぎ眺め、うっとりした表情をした。
いつもの習慣で、口に唾が湧いてきたのか、何度もゴク、と喉仏を上下させている。
まるでパブロフの犬だ。

その顔に煽られ、私のペニスは少し硬度を増した。
リヴァイはそれを嬉しがるように、ペニスに頬ずりをした。
周囲に潔癖症と知られているリヴァイが、洗っていないペニスを前にこんなことをと思うと、
よりいっそう気分は高まってくる。

私は自分のペニスを握り、軽く上下に扱いてみせた。
硬度はいっそう増し、ほとんど挿入出来そうなほどになっている。
私はその先端を、リヴァイの可愛らしい、ちいさな唇に当てた。
唇は窄まって、先端を吸おうと健気な動きを見せている。
ちゅう、と一回だけ吸わせると、せつなくなったのか、リヴァイは膝をすりあわせた。

「ぁッ……」

吸われている先端を取り上げ、今度は頬へ当てる。
やわらかく、滑らかな肌を先端で感じる。
密に睫毛の生えている瞼を通り過ぎ、額へ。
狭いが、丸くて形の良い額に、何度か擦り付ける。

そんなところで感じるはずはないのに、期待からか、リヴァイはあっあっと喘いだ。

「……ッなあ、くれよ……」

「まだ、ダメだ。」

そんなに欲しいか?と私は面白くなり、調子に乗ってペニスで頬を打ってみた。
ほとんど完全に充実しきった私のペニスは、べちべちと音を立てる。
リヴァイの白い頬は興奮し、桃色に輝いている。

「アッ……ア……」

リヴァイはせつなそうに舌なめずりをするばかりだ。

「そんなにしゃぶりたいか。」

私は訊く。リヴァイはコクンと頷くと、また喉仏を上下させた。
その喉があまりに白く、また桃色の頬がいじらしいので、私はマテを止めた。

「ヨシ。」

号令を掛けた。
リヴァイは待ちわびたその言葉を聞くや、口を開けた。
可愛らしい。あまり我慢させるのは可哀想だ。
これは犬ではない。
私の可愛い、大切な妻なのだから。
























 

窓から臨む紅葉
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